古神道の行法とは?
古神道とは?
古神道とは、儒教・仏教など外来の教えが伝播する以前の日本固有のものです。
江戸時代の僧・契沖、本居宣長、平田篤胤等によって提唱されました。
これを「復古神道」と呼びます。
この思想は、明治維新の原理となり、また霊学や心霊研究などにも影響を与えているとされています。
この「復古神道」の流れをくむものが古神道と通称されています。
行法とは?
代表的な行法として「禊」があります。
神道においては清浄であることをもっとも尊ぶことから、神社に参拝するときも手と口をすすぐことで禊とします。
古神道には、口伝として伝わってきた行法がさまざまあり、明治時代になってそれらが一般にも伝授されるようになりました。
複雑で難しい行法が少なくありませんが、ここでは、手軽に行えるものをいくつか紹介します。
無病息災・長寿を保証する山口志道の神風伯(かみかぜのいき)神伝
言霊学の大家・山口志道
1765年~1842(明和2~天保13)年。江戸時代後期の国学者。
安房国長狭郡寺門村(現在の鴨川市寺門)に生まれ、25歳の頃に江戸に出て、荷田春満(かだのあずままろ)の流れを汲む荷田訓之(かだののりゆき)に学び、「稲荷古伝」を伝授されます。
国および,国語学を学び、独自の神代学を創始しました。
65歳の頃に京都に出向き、国書を公卿に講じ、さらに光格天皇、仁孝天皇の侍講もつとめます。
その業績がたたえられ、禁階紅梅1枝を賜わりました。
晩年には、「水穂伝」「百首正解」を出版し、1842年に京都で病に倒れ78歳で亡くなりました。
その後生前の功績により、「齋瑲霊神」の神号が贈られました。
国学者、言霊学の大家として知られています。
山口志道の中心思想としての呼吸(水火)
息を吐く宇宙のなかで、霊は凝縮し、具象化し、物質化します。
逆に、息を吸う宇宙とともに物質が拡散し、展開し、霊化します。
意識的に行われる呼吸法は、あらゆる鎮魂・瞑想にとって重要な役割を持っていると、山口志道は説きます。
病とは気の滞りよりくるため、呼吸によって罪を消し去れば、幸いのみが生じて災いの起こることはなくなり、無病息災・長寿が保証されます。
神風伯神伝の実践法
- 朝、東方に向かって太陽を仰ぎ、天照大神を拝礼し、自分の罪を懺悔します。
- 胎内の濁気を吹き払うと思いめぐらして、息を息吹に息吹きます。
- 天親無量寿の気を呑むと思いながら、息を充分に吸い込みます。
- これを、自分が良いと考える回数まで繰り返します。
気力を充実させる松原皎月の陽気呼吸法
昭和初期の霊術界で活躍した松原皎月
霊術は、明治から昭和初期にかけて日本で大流行した民間療法です。
海外から導入された催眠術や心霊学、心理学などと、日本の修験道などの呪術文化が融合して生まれたものであり、霊術の世界、霊術業界は「霊界」と呼ばれました。
その霊術界において、昭和初期にその名を轟かしたのが松原皎月です。
幼少のころより神秘的霊術の研究を志し、全国の心霊学者や霊術家、心霊学の大家の門をたたき、15歳のときに霊術団体・洗心会を設立し、霊術の普及に尽くしました。
1908年生れ、1935年頃没。
陽気吸収法の実践法
- 晴天の早朝、洗面後に、東方の太陽に向かって直立します。
- 足を30センチほど開いて立ち、両手を前方に差し伸ばします。
- 両手の手の平を太陽に向け、左右の親指と人差し指で三角形をつくります。
- その三角形の中を通して、太陽を凝視し、口をすぼめて太陽の光線を吸収するとイメージして息を吸います。
- 太陽の光線で腹がいっぱいになったら、頭を下げて地上にハァーと息を吐き打診す。このとき、穢れた気、邪気を吐き出すことをイメージします。
- この呼吸を20回行います。
願望成就・勝負必勝の秘術 諏訪神伝如意秘法
建御名方(たけみなかた)神
大国主命の子であり、武神としての性格をもっています。
武甕槌神(たけみかづちのかみ)らが葦原の中つ国の国譲りを大国主命に迫ったとき、大国主命の命令で武甕槌神と力比べを行いますが、これに敗れて信濃諏訪湖に逃れ、以後この地から出ないと誓いました。
諏訪大社の祭神。
本来は霊力を持った強い神であり、妖魔を切り祓い、新たな道を切り開く力を持つと考えられ、この力が如意秘法として伝わったとされています。
諏訪神伝如意秘法の実践法
次の秘詞を熱心に唱え、そのあとに願望成就を祈願します。
この秘詞を信念をもって黙唱し、一心に祈るとき、万事が思い通りになるとされています。
交渉事、勝負事の場合には直前に唱えていると有利に働くといわれます。
また、この秘詞を唱えると災いを避けることができるともいわれます。
みなかたの 神の御力(みちから) 授かれば 祈らむことの、叶わぬはなし
野辺に住む けだものまでも縁あれば 暗き闇路も 迷わざらまし
我が身守り給え 幸え給え(さきわえたまえ)
相手に想いを伝える風神秘伝
気の神・級長津彦(しなつひこ)神と級長津姫(しなつひめ)神
『古事記』において、伊邪那岐命・伊邪那美命が 海神、水神を生んだ後に、朝霧を吹き払った息から級長戸辺命(しなとべのみこと)またの名を級長津彦命という神が生まれ、これは風の神であると記述しています。
志那は息が長いの意味で、 風は神の息から起きると古代人は考えていました。
一般に 「級長津彦神、級長津姫神」や「級長津彦命、級長戸辺命」と、男女の神として祀られることが多くみられます。
風の向きと一致させて
風神秘伝を行うときには、風の向きと一致させると効果が高く、逆風の場合には効果が薄まります。
相手が東にいるのであれば、西から東に風が吹いているときに風神秘伝を行ったほうが効果的です。
もし、東から風が吹いていると逆風となるため、効果は薄れるといわれます。
この風神秘伝は、直接的に言いにくい場合に行うと良く、たとえば人の欠点の指摘や矯正、親子間での意見などを行う前に、風神秘伝を行うと良いと考えられています。
また、デートの誘いなど、恋愛にも応用できます。
風神秘伝の実践法
人のいない静かなところで、次の秘文を3回以上唱えます。
天地(あめつち)のなかを行き通う風の神の荒魂(あらみたま) 早馳(はやち)の神
感(かま)け通いて守り給え 幸え給え
次に、自分の想いを伝えようとする人物の住所・氏名と自分の想いを述べ、それを相手が受け入れることを強く念じ、たとえば次のように口に出して唱えます。
(住所)に住める(姓名)よ。
私は(願望)を汝に望む。
すみやかに我が心をうけいれよ。
唱え終わったら、思い切り息を吸い込み、相手のいる方角に向かって、力いっぱいに息を吹き放ちます。
これを3回以上繰り返します。
古神道の行法には、肉体と精神を研ぎ澄ます力があります。
ここで紹介した事例は、手軽に実行できるものばかりですが、もっと詳しく知りたいという方は、古神道行法秘伝 (実践講座) をご覧になってみてください。
古神道の歴史的な背景、八百万の神々のことなど、古代から現代につづくさまざまな秘法が詳しく解説されています。
参考文献
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